蕃山21の会について


蕃山は仙台市中心部の近くにありながら, 里山として信仰と伝説と歴史があり, 原生林に多様な動植物が生息するかけがえのない山で, 今は仙台市民の憩いの場となっております。また,約1,350 haの広大な山域は, 奥羽脊梁山脈までの緑の回廊として連なり, ニホンカモシカやツキノワグマを頂点とする多様な生命を支えています。

発足の経緯


蕃山21の会の発足は, 開発業者が蕃山の東側でリゾート開発計画(温泉を利用したホテル, 旅館, 保養所, テニスコート, ゴルフ練習場等)を進めるために山林を買い占めたことから始まります。

 

この開発計画に危機感を抱いた市民が1991年(平成3年)10月29日に蕃山21の会を結成(172 名)して開発反対ののろしを上げました。会の名称は,蕃山の自然を21世紀まで残そうという意味を込めて『蕃山21の会』としました。

 

開発阻止と蕃山の自然保護に向け, 仙台市や宮城県への要望や陳情を繰り返すとともに, 会員が土地を売らない地権者から立木を一本づつ買い上げる「立木トラスト」を実施し, 法的に対抗しました。これらの運動に対し開発業者は,さまざまな形で開発を目論んだものの成功せず, 開発阻止運動は成功しました。

 

そして1997年(平成9年), 行政や関係者への猛烈な働きかけが功を奏して, この蕃山東部地区(約90 ha)が「都市緑地保全法」に基づく「特別緑地保全地区」に東北地方で初めて指定され, 恒久的に保護されることになりました。

 

この他にも蕃山の自然保護に取り組み,

1994年(平成6年)「鳥獣保護地域」への指定

1994年(平成6年)県道秋保温泉愛子線(錦ヶ丘~秋保に通じる道路)に動物横断専用トンネルの設置

1998年(平成10年)大梅寺に東北初のバイオトイレ設置

2006年(平成18年)馬越石地域の「宮城県自然環境保全地域」への指定

 

等の成果を上げることができました。

 

その後, 2013年(平成25年)6月, 当会が蕃山南側で大規模伐採が行われていることを発見し, 宮城県に通報(宮城県が仙台市に情報提供)したことで違法伐採が発覚し, その後の復元(造林)につながりました。

 

なお現在, 蕃山南側地域で森林を伐採して大規模太陽光発電施設の建設の計画があります。 当会も建設反対の申し入れを行いました。 今後も動向を監視していく必要があります。

 

上記の保護活動とは別に, 2000年(平成12年)5月に,国民が国有林に自主的に植林し, 管理する「ふれあいの森活動」に応募したのがきっかけで,仙台森林管理署と「協定」を締結(以後5年毎に更新)し,サイカチ沼の西方約500mに位置する岩元山国有林のスギ伐採跡地(2.36 ha)に,ヤマグリ1,230本,カツラ400本,オオヤマザクラ370本を植林し,「ふれあいの森活動」を始めました。

活動の内容

当会は, 蕃山およびこれに連なる優れた自然環境ならびに自然と一体になっている文化・社会・歴史環境に配慮しながら自然を保全し, 多くの人々が自然に親しみ,新たなる緑の文化を創造して,将来の世代に引き継ぐことを目的に,次の「保護部会」「ふれあいの森部会」および「親しむ部会」に分かれて活動を行っております。


保護部会

蕃山およびこれに連なる山々の自然環境を保護し,市民の憩いの場として末永く保全されることを主眼に,“破壊された自然は元に戻らない”を合言葉に,自然保護に関する普及・啓発,開発行為の防止に向けた巡回パトロール等の活動を行っております。また,現在,蕃山南側地域で大規模太陽光発電施設の建設が計画されていることに対し,建設反対の取り組みを進めています。

ふれあいの森部会

2000年(平成12年)に始まった「ふれあいの森活動」のホームグランドは,緩やかな斜面にあり,清冽な沢が流れ,高さ5mの滝があるなど,市民の憩いの場にふさわしいことから,当会では下刈り,観察路の整備,不法投棄ゴミ回収、希少動植物の保護,さらには自然観察会の開催等の活動を行っております。これらの活動が認められ,2001年(平成13年)6月に東北森林管理局長より「森からの感謝状」を, また2021年(令和3年)5月に林野庁長官より「感謝状」を授与されました。

親しむ部会

蕃山および周辺の山々を歩き,季節の移ろいを楽しむとともに,自然の豊かさに触れ,動植物の観察等を行いながら自然に親しむ活動を行っています。活動は,年間10回程度行いますが,年々参加者が増え,現在は1回あたり参加者が30名を超えるなど盛況を呈し,充実した活動となっております。