蕃山は仙台市中心部から西へ6kmに位置しています。 国道48号線に沿って東から西へ, 蕃山(356.0m), 西風(ならい)蕃山(372.5m),蛇台(じゃたい)蕃山(362.3m)の3つの嶺が連なっています。最も高いのは西風蕃山の南西約1kmにある, 萱ケ崎山(379.3)です。
蕃山は,里山として信仰と伝説と歴史があるばかりでなく,多様な動植物が生息するかけがえのない山で, 特に西風蕃山周辺には「百年森」と呼ばれる大木のモミ,イヌブナの原生林が広がり, 野鳥やけものたちの聖域となっています。最近は仙台市民のみならず市外から多くの登山者が増えています。
広瀬川と名取川に挟まれた丘陵に蕃山があり, しかも奥羽山脈から蕃山まで一つのダムもなく, 森で連なっていることが多様な生態系を保持しています。また山頂からの眺めもすばらしく,遠くは牡鹿半島や栗駒山, さらには太平洋,蔵王連峰が一望できます。
今から500万年以上前の「新生代中新世」に,堅い黒ずんだマグマが噴出して「安山岩質玄武岩」と火山爆発で破壊され飛ばされた火砕石物が重なった土地が,200万年前位に約200 m隆起してできた山が蕃山と言われています。南と北斜面に沢が多く,枝沢まで含めると200を超えるといわれております。
春は紫紅色のカタクリ,ピンクのイワウチワやショウジョウバカマの群落を眺め,夏は緑陰にそよ風を受け,秋の紅葉に限りない美しさと哀愁を感じ,雪に残したウサギやカモシカの足跡を追うのも楽しいものです。自然の恵みを満喫できる蕃山は,千金の価値があり,季節ごとに訪れてみたいものです。森林の大気浄化作用や保水作用など公益的な機能もさることながら,そこに人間性を育み多くのことを学ぶためにも,力を合わせて永遠に残したいものです。
【注:蕃山の動植物の詳細は,『蕃山の植物図鑑』,『蕃山の生きもの』を参照(クリック)してください。】
蕃山は,自然環境・緑地環境の保護のため,法律や県条例で規制されています。
「都市緑地法」に基づき,都市計画区域内において良好な自然環境を現状凍結的に保全し,貴重な緑を未来へ引き継いでいくため,1997年(平成9年)6月に,蕃山東部地区約80haが「蕃山特別緑地保全地区」に指定されております。(2021年6月現在,仙台市内では蕃山地区も含め,4個所(約97.2ha)が特別緑地保全地区に指定されています。)
所轄官庁:仙台市(建設局百年の杜推進課)
「自然環境保全条例」(昭和47年7月15日宮城県条例第25号)に基づき,自然環境を保全することが当該地域の良好な生活環境の維持に資する地域として,1976年(昭和51年)8月に,蕃山からサイカチ沼に至る地域約1,942haが「蕃山・斉勝沼緑地環境保全地域」に指定されております。(2021年6月現在,県内では11地域約11,000ha が緑地環境保全地域に指定されています。)
所轄官庁:宮城県(自然保護課自然保護班)